「製造業なのに、1人当たりの売上高が非常に高い!これは正直すごいことですね。」(王)
王業績の推移を見せてもらったんですけど、非常に好調ですよね。
川口おかげさまで。
王どちらかというと今、個人住宅の不動産は動きが鈍いと聞いていますが。
川口我々住宅以外の分野もやっていますが、基本は国内市場ですから、先行きを見てもなかなか拡大といったバラ色の画は描きにくい。そんな中、中小企業なので強みを生かして、良い状態にここ数年推移できています。
王今おっしゃった「強み」とは?
川口我々は製造に徹しています。具体的には先ほどお伝えしたなにかを貼り合わせるとか、着色をして付加価値を上げていくという技術を自ら高めることに注力しています。そういった技術力を「生産技術力」と我々は呼んでいますけど、そこをお客様に評価いただけているのではないかな、と。
あと、この業態の中で創業から70年以上の実績ですね。品質面ですとか、安心感をもってお取引いただけていることが強みなのかな、と思います。
王しかし製造業なのに従業員数に対し、売上が非常に高い!
これは正直、すごいことですね。労働生産性が非常に高い会社という…。
川口取り扱っているものが、単価が高いと言いますか、価格が高いもの、そこに我々のアイデア、技術力をもって、少ない人数、同じ人数で多くのものを生み出すところに注力してきました。そこが結果として一人あたりの売上高を見ると、少し驚かれるような額になる側面もあるのかなと思います。
王少しどころかたいへん驚きました。
今、特にメーカー関係とか一般の会社でそこまではなかなかないですよね。
川口機械化や合理化の技術を持ってやってきた。それが数字に反映されているところもあるでしょうね。
王非常にこだわりを持ってつくられている、ということですね。
モノづくりで一番大切にしていることはなんですか?
川口いかにモノをお使いいただく方のニーズを捉えて、本当に応えていくか。それが時代や環境によってもどんどん変わるので、その変化に応えていくかだと思っています。
求められる内容は千差万別です。価格重視のお客様も見えますし、非常にこだわりの付加価値がついたもの、多種多様な機能がついたものを求められる、というパターンもあります。お客様が、本当になにを求めているのかを的確に捉えて、それにしっかりとスピード感を持って対応していくことが一番重要だと思います。
王当然、全部期限があるんですよね。
川口そうですね。市場というかお客様に待ってもらえないので、限られた時間、限られた資金の中で、知恵を絞って対応していくことが求められます。
王それだけの生産性の高い経営・・・川口社長は経営の中で、一番心がけているのはどんなことですか?
川口やはり、我々は製造加工業によって「いかに社会に貢献できるか、人を幸せにできるか」だと思っています。住環境や建築に携わっていますので、モノづくりを通じて、社会生活を少しでも良くし、人の幸福度を高めて幸せにつなげていくことが経営だと思っています。
王従業員の生活まで含めたところを非常に大切にされている気がしますが、そこにはなにか社長の思いがあるのですか?
川口モノづくりとは結局、最終的には人がつくることに変わりありません。モノづくりに携わる人間が、「自分がモノづくりをすることで、幸せになっている」という実感を持って仕事をしてもらわないと。嫌々つくるもので、社会やお客様を幸せにはできないと、私は思っています。
だからまずは働く人間の環境面や待遇面を中心に、いかに仕事によって満足を得る環境を整えるかを最初に考えなければ。そうやってきたつもりですし、まだまだ100%当然達成できていないと思いますので、今後もどんどん改善していきたい。
王ところで退職金ってあるんですか?
川口ありますあります。(笑)
最近の会社は、もう給料の中に入っているとかね、そういう枠組みが多くなっていますよね。我々は70年前からありますので。そういうところは昔ながらの日本的な要素も残してはいますね。